矯正治療の基礎知識
矯正歯科治療とは

矯正歯科治療とは、矯正装置を使って歯を動かすことにより歯並びや咬み合わせを改善していくことです。歯並びや咬み合わせを改善することで、歯磨きなど口内ケアをしやすくなり、むし歯や歯周病になりにくいお口の環境をつくることができます。中には、歯だけでなく唇が閉じやすくなることで口元まで美しくなる方もいらっしゃいます。
美しい歯ならびや口元になることで笑顔に自信がつき、その結果として心身ともに健康になってもらうことが矯正治療の究極の目的です。
歯並びや咬み合わせが悪いことによって起こる症状

歯並びが悪いと、歯磨きで磨き残しが多くなります。そのような状況が続くと、むし歯や歯周病になりやすくなります。
また、歯並びや咬み合わせが悪いと、顎の関節に負担がかかってしまい、「口が開けにくい」「あごが痛い」「口を開けるときに音が鳴る」などの症状が出てくる「顎関節症」になることがあります。
悪い歯並びが恥ずかしいため、人前で話したり笑ったりすることが嫌になってしまい、ついには人と会うのが嫌になってしまうなど、精神的な面にも影響を及ぼすこともあります。
大人(成人)の矯正治療 早見表
表側矯正(ラビアル)

これまで多く行われてきた一般的な矯正治療です。歯の表側の面にブラケットという部品を接着し、ブラケットにワイヤーを通して歯を少しずつ動かしています。目立ってしまうというデメリットがありますが、当院では可能な限り目立ちにくい色のブラケットやワイヤーを使用するようにしています。また患者さまにとっては装置が見えるので歯磨きがしやすいというメリットがあります。
見た目 | 期間 | 費用 |
---|---|---|
× | ◎ | ◎ |
デメリット・副作用
- 表側矯正装置はマウスピースや裏側矯正に比べて目立ちやすい
- 時々、頬や唇に触れることで違和感や痛みが生じる可能性がある
- 硬いものや粘着性のあるものを食べると、矯正装置が外れることがある
見えない舌側矯正(フルリンガル)

矯正しているのを見られたくない、知られたくないという方におすすめ。また取り外しの装置は意志が弱くて続けられる自信のない方にもおすすめしています。歯の裏側にブラケットを装着するので、ほとんど見えません。ただし上下とも裏側矯正をする場合、費用は高くなってしまいます。当院では舌側矯正をされる患者さまが最も多いです。期間は他の装置と比較して長期にわたることはありません。ラビアルと比較してリンガルの方が装置周囲のむし歯になりにくいといわれています。
見た目 | 期間 | 費用 |
---|---|---|
◎ | ○ | × |
デメリット・副作用
- 歯の内側に装置を設置するため、初期には強い違和感を感じることがある
- 装置が内側にあることで、通常の歯磨きが困難になる可能性がある
見えない舌側矯正(ハーフリンガル)

「フルリンガルだと費用が…」という方におすすめなのが、ハーフリンガルです。上下どちらかを裏側矯正にするものですが、ほとんどの方は目立ってしまう上の歯をリンガル矯正にし、あまり目立ちにくい下の歯は表側矯正にされます。費用がフルリンガルよりも安くできます。また下の歯の舌側の矯正装置は違和感が強い方が多くいらっしゃるので矯正装置の快適さを求めるならハーフリンガルは良いと思われます。
見た目 | 期間 | 費用 |
---|---|---|
○ | ○ | ○ |
デメリット・副作用
- 特定の歯並びや見え方によっては、矯正装置が不向きな場合がある
- 矯正装置を装着することで、通常の歯磨きが難しくなる可能性がある
- 矯正装置を装着直後は、一時的な痛みや違和感を感じることがある
マウスピース型矯正装置

主に食事のとき以外すべての時間で透明なマウスピースを装着し、歯を動かしていく矯正です。
透明で歯にフィットしているマウスピースですのでほとんど見えません。
またマウスピースなので取り外しができるため、歯磨きしやすい点がメリットです。お食事の際はマウスピースを外していただくので食べるものを気にせず快適にお食事ができます。
見た目 | 期間 | 費用 |
---|---|---|
◎ | ○ | ○ |
デメリット・副作用
- 効果を最大限に引き出すために1日に20時間以上装置を使用することが必要である
- 特に難しい症例の治療は、一部の矯正方法では対応が難しいことがある
- 臼歯(奥歯)が正しく咬み合わない場合がある
よくある質問
- Q 矯正はいつスタートするのが理想的ですか?
- A
矯正のスタート時期は患者さまお一人お一人の状況でかなり異なりますので、矯正治療をしてみたいと思い立った時にご相談に来ていただけることが良いと考えています。
成人の方でしたらお仕事や生活でのスケジュールなどを踏まえて、矯正時期をご相談させていただきます。お子さまの場合も、歯並びが気になられたときに一度ご相談にお越しください。ただし、お子さまの場合は永久歯への生え変わり状況や歯の状況を考慮して、すぐにスタートするほうがよい場合もありますし、スタート時期になるまででしばらく様子をみていくこともあります。特にお子さまの場合は、お口の中の成長だけでなく、受験や部活動なども治療に密接に関わってきますので、時期はご相談しながら進めていきます。
- Q 矯正は痛いですか?
- A矯正治療での痛みは大きく分けて、装置の接触による痛みと歯の移動による痛みに分けられます。
装置の接触による痛みの場合は装置の形を変えたり、装置にカバーをすることで痛みを和らげることが可能です。
また歯の移動による痛みは装置の調整後、2〜3日間出てくることがありますがそれを過ぎると痛みは無くなってきます。
歯の移動による痛みには個人差がありますが、痛みが強い場合は鎮痛剤を服用すると痛みは和らいできます。
- Q 矯正をするとむし歯になりやすいですか?
- A矯正装置の周囲に食べかすがたまりやすいため、しっかりとご自身で毎日歯磨きを行わなければむし歯になってしまいます。
装置を付けた後には矯正装置の周辺を清潔にするための歯磨き方法を指導させていただいています。
また治療の際には装置周囲のクリーニングを合わせて行っておりますが、それでも歯磨きが不十分な場合にはかかりつけの一般歯科さんにクリーニングをお願いする、もしくは当院にて矯正治療とは別予約でクリーニングのみで来院していただいています。(クリーニングのみで来院の場合は別料金をいただいております。)
- Q 矯正料金は、いつお支払いするのですか?
- A
検査代、診断料については、その都度お支払いをしていただいています。
矯正料金のお支払いの時期・回数については、患者さまのご希望・推定治療期間・治療の進行状況を照らし合わせた上で患者さまと相談のうえ決めております。
基本的には矯正治療が終了して保定装置に切り替えるまでにお支払いが終了するようにしていただいています。
患者さまの状況に合わせてなるべく無理のないお支払い方法をご提案させていただいております。
- Q むし歯や被せ物の治療はどのタイミングがいいのでしょうか?
- A
当院ではむし歯や被せ物の治療は行っておりませんので、むし歯の治療は矯正装置をつける前に患者さまのかかりつけの一般歯科さんにお願いして終わらせていただいています。かかりつけの一般歯科さんがない場合はご相談ください。ご紹介させていただきます。
小さいむし歯の場合は問題ありませんが、大きいむし歯で、治療後被せ物をしなくてはいけない場合、被せ物の材質によっては矯正装置が接着しづらくなることもありますので材質についてこちらから指示させていただくことがあります。
- Q 上だけの矯正、下だけの矯正も可能ですか?
- A
咬み合わせに問題がある場合は基本的には上下ともに矯正装置をつけますが、状況によっては可能な場合があります。
また部分的に悪い場合も状況によって部分矯正が可能な場合もあります。